一般的に音速は約340m/s と知られていますが、これは私たちが生活している空気中、すなわち酸素約21%、窒素約79%、温度25℃での速度です。
ガスの組成や温度が変化すれば音速も変化します。
この特性を利用したのが超音波式ガス濃度計です。
送信用センサーと受信用センサーを対向させて配置し、送信センサーから超音波を発信します。
超音波がガス中を通過し、受信センサーに到達する時間を計測します。
センサー間の距離が既知であるため、音速を求めることができます。
平均分子量が解れば、2種混合ガスの濃度を求めることができます。
酸素50%、窒素50%、ガス温度25℃の環境下で音速測定をすれば、音速は339.919m/s になります。
この音速値を上式に代入すれば平均分子量が約30 となります。
酸素と窒素の分子量差が約4ですので、平均分子量の30から窒素の分子量28を引いて、4で割れば酸素濃度が約50%と求められます。
上記の説明では窒素中の酸素濃度測定を例にあげましたが、超音波式ガス濃度計は原理的にあらゆる2種混合ガスの測定が可能です。
測定分解能は、測定する混合ガスの分子量の差が大きいほど向上します。
ガス温度25℃における酸素100%の音速は329.23m/s、窒素100%は351.88m/s、水素100%は1316.93m/sです。
センサー間の距離が10 ㎝の場合、酸素窒素混合ガスの到達時間差は約20μSとなります。
スキャンタイムが0.2μSのCPUであれば、100カウントしか測定できないため、分解能は1%となります。
水素窒素混合ガスであれば到達時間差は約208μSとなり、スキャンタイムが同じCPUであれば約1000カウントの測定ができ、分解能は0.1%となります。
CPUのスキャンタイムが0.02μSであれば酸素窒素混合ガスでも約1000カウントの時間測定ができるため、分解能は 0.1%となります。
またセンサーの長さを10㎝から20㎝に延ばせば到達時間差も20μSから40μSとなり、同じスキャンタイム0.2μSのCPUであっても倍の分解能が得られます。
このように、超音波式ガス濃度計にはまだまだ性能をあげる要素があり、今後の用途の広がりが期待されています。
酸素 | 窒素 | 水素 | ||
---|---|---|---|---|
分子量(g/mol) | 32 | 28 | 2 | |
音速(m/s) | 329.23 | 351.88 | 1316.93 | |
到達時間(μS) | 303.95 | 284.19 | 75.93 | |
時間差(μS) | 19.76 | 208.26 | ||
分解能 | 約1% | 約0.1% | ||
約0.1% | 約0.01% |
酸素(O2)、窒素(N2)、水素(H2)、二酸化炭素(CO2)、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、キセノン(Xe)、クリプトン(Kr)、ネオン(Ne)、六弗化硫黄(SF6)、四弗化炭素(CF4)、亜酸化窒素(笑気ガス,N2O)